ホーム > 特集一覧 > 特集 Vol.2 おもてなしのこころ [2007/07]

第2回おもてなしのこころ(Vol.2 2007年7月)

 巣鴨地蔵通り商店街が「お年よりの原宿」、「おばあちゃんの原宿」と呼ばれるようになって二十年以上になります。おかげさまで、中小企業庁の「がんばる商店街七十七選」に選ばれ、連日多数のお客さまで賑わっていますが、巣鴨地蔵通り商店街にも池袋や新宿、上野といった盛り場に追いつけ追い越せで大変だった時代もありました。そこで、本特集で歴史を紐解きながら、地域のよさを生かした街づくりについてお話します。

江戸の昔から憩いの場

 巣鴨地蔵通り商店街は、旧中山道です。日本橋を出発して京都まで六十九次ありました。日本橋を出発する中山道の休憩所(立場)が真性寺の門前にありました。植木屋や駕籠担ぎなどがそこで商売をしていました。真性寺から地蔵通り商店街を歩いていくと、江戸名所図絵にも描かれている庚申塚というものがあります。こちらには古くから信仰されている猿田彦大神が祭られています。また、明治二十四年に江戸時代より霊験あらたかな地蔵尊として信仰を集めていた、とげぬき地蔵尊高岩寺が上野から巣鴨に越してこられました。
 このように巣鴨地蔵通り商店街は、江戸時代より真性寺の門前町として栄え、明治中期からは二つのお地蔵さまと庚申塚の猿田彦大神さまに守られているありがたい土地です。このような理由で、地蔵通り商店街は江戸の昔から信仰の街、お参りの街でした。これが私どもの地域のよさであると考えています。

江戸名所図絵に描かれた巣鴨真性寺周辺の画像
江戸名所図絵に描かれた巣鴨真性寺周辺 江戸名所図絵に描かれた巣鴨庚申塚周辺の画像
江戸名所図絵に描かれた巣鴨庚申塚周辺

ものを売るのは最後

 商店街は、お買い物をしなくても、用がなくても、遠回りしても通りたい、商店街を通ったらよい気分になった、元気になった、こういう地域である必要があると私どもは考えます。ものを売るのは最後です。まず、商店街は地域の方々のコミュニティーの核になり、集える場所であることが本来の役目のはずです。何かを買いに行くわけではなくても、馴染みのお客さまとは挨拶を交わす、そんな一昔前の商店街では当然のように交わされていたお客さまとの人間関係がここにはあります。ですから、もし普段お母さんと歩いている子供が見ず知らずの大人と歩いていたら、「あれ、おかしいな、ちょっと声をかけてみようかな」と思えるわけですね。つまり地域の防犯にも役立つわけです。

おもてなしのこころ

 このような本来の役割を捨て、利益ばかりを追いかけた街づくりをする地域が、ここ数十年の間に増えてしまったような気がします。若者ばかりをターゲットにして、巨大施設を誘致し、どこでも手に入るような商品が陳列されています。もったいないですよね、地域性を捨ててしまっています。 巣鴨地蔵通り商店街も昭和五十年代までは池袋、上野、新宿、渋谷に追いつけ追い越せを目標にして大変だった時代もあります。そのような状況の中で、高度経済成長を終えた日本の社会には物があふれてきました。
 昭和五十年代後半のマスメディアの報道の中でこれからは、これからは高齢化社会になる、介護の問題がでてくる、これはよいキーワードで街づくりの方針を変えるヒントになりました。昔から信仰の街とされていた地蔵通りの地域性にすごく合っていました。そのときに、街づくりのテーマを変えました。それは、

巣鴨の歴史と文化を大切にした、人に優しいもてなしの街をつくろう。

たったこれだけです。これにいろいろな枝葉がついてお客さまに喜ばれる街づくりがだんだんなされたのではないかと思います。

商店街に歩道は要らない!

 このような、お客さまを思うなおもてなしのこころが行政の決定を覆した歴史が地蔵通り商店街にはあります。今から三、四十年前、地蔵通り商店街に歩道を作るという働きかけがありました。そもそも話の始まりは、アーケード設置からだったそうです。しかし、道幅の関係でその当時は無理だということで、道の両側に屋根上のアーケードを作るためのステップで歩道を作る話が持ち上がりました。
 しかし、お年寄りが買い物をするには、数センチの段差があるだけで歩道の反対側に行くには大変な不便になります。このようなお客さまを思う熱いおもてなしのこころで、現在の段差のない商店街を勝ち取ったのです。

商店街は横のデパート

 個々のお店が光っていないと街全体が光りません。ハード事業で舗装やアーチ、街灯、建物を変えても、これは仏作って魂入れずです。やはり商店街には来客者が必要です。現在でも商店街の飾りは人のぬくもりが溢れる、古くさいものが多いです。一見時代に逆行しているようにも思えますが、この庶民性が大切です。これが昔の商店街の風景でした。どこかのどかでほっとする空間だったのです。中高年の方々を集客するにはそういう方々の若い頃の風景を再現して、あそこに行ってみたい、あそこに行くととても落ち着くんだと思われる。目から受ける刺激は大切ですね、ですから商店街にお客さまが入っていらっしゃると、自然とそぞろ歩きに変われるんです。これが風景のなせる技です。そのような理由で巣鴨を訪れるお客さまの滞在時間の平均がおよそ2時間と長いのです。他の場所で2時間というとなかなか長くていられないのです。昔ながらの街づくり、これが巣鴨のよさです。
 商店街は横のデパートですから、一軒一軒が一生懸命、毎日お客さまのために、お客さま本位のこころを持って、おもてなしのこころをちりばめることが大切だと思います。

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第10回 中山道すがもまちづくり
巣鴨フォーラム2006 おかげまいりのまちづくり
「いやし空間と人のわを求めて」
おばあちゃんの原宿:巣鴨からの提言

巣鴨地蔵通り商店街理事長 木崎茂雄氏の基調講演をもとに作成しました。

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