ホーム > 特集一覧 > 特集 Vol.10 昨年300年祭、今年は400年祭の巣鴨  [2015/02]

特集vol.10 昨年300年祭、今年は400年祭の巣鴨

巣鴨の真言宗豊山派の眞性寺境内に鎮座する江戸六地蔵尊は、昨年開眼300年、今年は同寺の中興開基400年。

 お地蔵さんの参拝者でにぎわう巣鴨を象徴する寺といえば、とげぬき地蔵尊で有名な高岩寺と江戸六地蔵尊が鎮座する眞性寺です。巣鴨の玄関口、JR巣鴨駅から出て最初に目にするお地蔵さんは、旧中山道入り口にある眞性寺の江戸六地蔵尊。造立されたのが1714年で昨年300年を迎えました。

 江戸六地蔵尊とは、江戸時代の1708年から1720年にかけて、江戸の出入り口6カ所に造立された銅造地蔵菩薩像で、どれも高さが270センチ前後と大きい。六地蔵尊の造立由緒については、江戸深川に住む地蔵坊正元が病気平癒を地蔵菩薩に祈願したところ、不思議な霊体験によってたちまち全快したことから地蔵尊の造立を思い立ちました。江戸庶民から寄付を募り、京都の帝都六地蔵にならって造立したのです。

 最初に造立されたのは1708年、東海道にある品川寺(品川区)で、眞性寺は第4番目の造立になります。どれも街道筋にあるため、諸国を往来する人々の安全、繁栄、無病息災などを祈願し、心のよりどころとなってきました。今も眞性寺の江戸六地蔵尊の前では、日常的な光景として参拝者が夜も掌を合わせている姿を見かけます。
眞性寺の江戸六地蔵尊を供養する一大行事は、毎年6月24日の「百萬遍大念珠供養」。当日、境内に設けられた会場では、信者らが長さ16メートルの大念珠を念仏を唱えながら回す大念珠供養で、それぞれの思いを祈願します。

眞性寺は最低400年の歴史を誇る

眞性寺住職の鳥居愼譽さん

 眞性寺の六地蔵尊は300年前の9月に開眼されましたので、昨年は300年祭の式典が華やかに繰り広げられました。この時をいちばん待ち遠しくされていた眞性寺住職の鳥居愼譽さんは、昨年次のように話されています。
「私の代に開眼300年という大きな節目を迎えられ、たいへんありがたいことです。お地蔵さまは江戸時代から町の人たちのものですから、皆さんがどのように祝ってくださるのかはお任せしています。寺としてはそれを後押しするだけです。私の役目は次の400年に向けて、しっかりとお地蔵さまを守ることです。

 どの地蔵さまも大きく、そして銅で造られているのは、盗まれず、火災に遭っても燃えないように、その二つです。お地蔵さまは心が広く、善人・悪人に関係なく救ってくれます。お参りするとまず心が落ち着く、これが大きいんです。だから何度もお参りする。そのためには、同じ所にずーっといて欲しいから、盗まれたり、火事で焼けては困るんです」

 眞性寺の江戸六地蔵尊は300年も人々の心を癒してきました。その間、幾多の天災を受け部分的な修正がなされた。最近では平成20年、損傷箇所が激しいため、地蔵尊を京都で修復し、1年8カ月後の22年、再び元気なお姿で戻ってきたのでした。

 では、他の江戸六地蔵尊とは。第1番目の造立は前述の品川寺、2番目は奥州街道の東禅寺(台東区)、3番目は甲州街道の太宗寺(新宿区)、4番目が眞性寺で5番目が水戸街道の霊巌寺(江東区)、6番目は千葉街道の永代寺(江東区)ですが、現存していません。

 眞性寺におきましては、中興開基(一度衰運にあったものを再建)が1615年とされ、明治時代に真言宗豊山派総本山長谷寺(奈良県)の末寺となって今日に至っています。そして今年は中興開基400年を迎えました。鳥居住職は2004年からの4年間、総本山長谷寺の管長でもありました。

もう一つのご利益はとげぬき地蔵尊

 巣鴨のお地蔵さんといえば、今では巣鴨地蔵通り商店街の中にある高岩寺のとげぬき地蔵尊を指しますが、江戸時代から明治の頃までは眞性寺の江戸六地蔵尊だったのです。

 巣鴨の歴史を紐とくと、眞性寺が中興開基する約400年前の江戸時代初期に遡ります。将軍となった徳川家康が道路政策として慶長9年(1604)に旧中山道を整備すると、巣鴨地蔵通りは宿場町として栄え、また周辺には眞性寺など20カ寺が点在し、参拝者が往来する門前町になったのです。江戸時代は植木職人が多く住み、桜の新種・ソメイヨシノ発祥の地であり、秋は菊見の客が押し寄せ、当時の様子が浮世絵に描かれています。巣鴨は歴史と文化に支えられ、今もその香りが漂い、周辺には寺院も多く、有名人のお墓があちこちに点在しているのが特徴です。

 明治24年(1891)にとげぬき地蔵尊の高岩寺が上野から移転すると、とげぬき地蔵尊は心のトゲ(病)を抜いてくれるという多くの霊験が広がり、ご利益を求める参拝者はしだいに高岩寺に集まるようになりました。

 本堂に納められているとげぬき地蔵尊は、秘仏で開帳されていません。参拝者に「とげぬき地蔵尊」とよく間違われるのが、境内に祀られた石造型観音の「洗い観音」で、とげぬき地蔵尊ではありません。この観音さまは現在2代目で、自分を観音さまに見立てて、痛いところを白布でさすると痛みが消えるというご利益があり、老若男女が真剣にさすっている姿が印象的です。

 巣鴨ではとげぬき地蔵尊と江戸六地蔵尊の参拝後は、門前町の巣鴨地蔵通り商店街、巣鴨駅へ向かう駅前商店街をそぞろ歩きしながら帰ります。これも参拝者のもう一つの楽しみであります。

 昨年に続き今年も「もてなしの街すがも」は、400年のお祝いムードが広がり、たくさんのご利益と熱いおもてなしで参拝者を楽しませてくれます。

石造型観音の「洗い観音」

この特集記事は
月刊『すがも』1月号
より提供いただいております。

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