特集 Vol.9 大正大学さざえ堂オープン

大正大学さざえ堂とともに
花と夢のある“新生すがも”へ

巣鴨の新名所として期待される大正大学さざえ堂が5月にオープンした。
地元商店街もこれを起爆剤にして早くも“新生すがもづくり”が盛り上がるばかりだ。

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 大正大学が満を持して5月18日にオープンした「すがも鴨台(おうだい)観音堂」(通称さざえ堂)。それは同大が巣鴨の活性化のためにこの30年来、考えに考えぬいた結晶である。さざえ堂建設において、その中心になって推進してきた同大事務局長の柏木正博さんは言う。
「私どもはかねがね巣鴨の街のさらなる活性化のために、いろいろと知恵を絞ってきたその結果が今回のさざえ堂につながったのです。つまり私どものさざえ堂は、従来の祈りの街、願いの街である巣鴨をさらに強くアピールする存在として建設したものです。具体的にはJR巣鴨駅から地蔵通りに入り、まずは東に位置する眞性寺高岩寺のお地蔵様をお参りして、途中の庚申様(猿田彦大神)に道中安全を乞いながら地蔵通りを西へと歩き、私どものさざえ堂(観音様)に皆さんをご案内するという趣向です。また、大正大学の礼拝堂には阿弥陀様(重要文化財)をおまつりしており、これにより巣鴨の街全体が東から西へ、文字通りの西方極楽浄土へと向かう一本のストーリーの舞台となるのです」
 柏木さんのおっしゃるとおり、東側の巣鴨駅から一直線に伸びた旧中山道沿いにそれぞれの寺院があり、初めてこの地に訪れた方も道に迷うことなく、ご利益めぐりが楽しめる。

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旧中山道が花いっぱいの夢街道に

 さざえ堂は、地蔵通りを抜けて次の庚申塚通りからそのまま参拝できるように新しく門を設けるなど工夫されている。また、巣鴨ストーリーを満喫した後、ご利益いっぱいの食事を楽しんでもらうためのレストランが4月18日にオープンした。さざえ堂隣に建った5号館の最上階(8階)にあり、プリンスホテルのレストランでランチは800円からと安く、夜は夜景を眺めながらコースメニューが楽しめる。「これを機に大学をもっと身近な存在に感じてもらいたい」と大学側は一般客を大歓迎。
 さざえ堂を訪れるもう一つの楽しみは、大正大学の東日本大震災復興支援の一環として、かねてから交流のある宮城県南三陸町のアンテナショップが庚申塚通りに開設、三陸の海の幸などを買って支援につなげること。さらには華道の小原流家元が、5号館ロビーに飾った生け花の入れ替えを月に一度行ってくれる。全国に広がる小原流のお弟子さんにとっては必見で、一般の華道ファンにとってもぜひ一度は足を運びたいものだ。
「巣鴨はもともと花にゆかりのある街。将来的には商店街の皆さんと一緒に旧中山道をすべて四季の花で飾るなど、花をテーマにした夢と潤いの街づくりができればと思っています」
 と、柏木さんの夢は広がるばかりだ。

さざえ堂を機にもう一度、日本一元気な商店街に

 もとより高岩寺や眞性寺を中心に発展する地元商店街にとっても何よりの朗報だ。元気がとりえの巣鴨駅前や地蔵通りの商店街も、景気低迷から将来への展望がなかなか描けない中、今回のさざえ堂出現が巣鴨に大きな相乗効果をもたらしてくれるものと期待が膨らむ。

 巣鴨地蔵通り商店街振興組合理事長の木﨑茂雄さんも大きな期待を寄せている。
「さざえ堂は、皆さんがお寺やいろんなお店などを回るという回遊性の一つになり、巣鴨のランドマークが一つ増えたのでたいへん嬉しいことです。地蔵通りだけを楽しんで帰ってもらうのではなく、ぜひともさざえ堂にも足を運んでくれれば、街全体が盛り上がります」
 同組合理事で、「街づくり」を担当している松宮秀明さんは、「旧中山道は巣鴨駅からスタートして、地蔵通りへと続いているんです。さざえ堂ができたことで、なおさらオール巣鴨で街づくりを考えないといけないですね」と、さざえ堂を取り込んだ新たな街づくりを模索している。
 巣鴨駅から向かうと地蔵通りの次が庚申塚通りで、そこにさざえ堂はある。地元商店街の庚申塚商栄会会長の浅賀政弘さんは、大学側との連携を図りながら、商店街活性化に努めていこうとしている。
「庚申塚通りの商店街も年々、店が減り始めていますが、さざえ堂をきっかけに再び活気付けばと願っています。商店街のイベントでは、大正大学の学生さんにも協力していただいているのですが、今年の夏祭はさざえ堂あたりを会場にしてできればと思っているんです」
 庚申塚通りの両側に並ぶポールには、すでに「大正大学さざえ堂」と書かれたイラスト入りのペナントが賑やかに飾られ、5月、巣鴨の街はお祭りムードで大いに盛り上がりました。

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この特集記事は
笑顔をつなぐタウン誌「すがも」 2013年5月号
より提供いただいております。