第4回 「懐古堂(御守り)」「原田の耳かき」

毎月4・14・24日に開かれるお縁日には、昔懐かしい露店が地蔵通りに沿って軒を連ね、壮観を呈すると共に江戸情緒豊かな風情の中、10万人とも15万人ともいわれる善男善女で賑わいます。

懐古堂(御守り)

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幅2mぐらいのスペースに昔ながらのスタンダードなものから、巣鴨限定のお地蔵さんの着ぐるみを纏ったキューピーさん御守りまで、色々な種類の御守りが並べられた「懐古堂」さん。その一つ一つに、お客様の健康と幸せへの願いが込められています。

えっ、ここにもキューピーさん!?

「巣鴨も客層がちょっと変わってきたかな?土日は家族連れが多いわね。」

みなさんの健康を願って出番を待っているたくさんの御守りの中で、ちょっと異色を放っているのが、お地蔵様の着ぐるみを纏ったキューピーさん御守り。こちらの御守りは、ご家族連れのお客様がお子さまのためにご購入されることが多いそうです。なんでも、マスコミに取り上げられるようになってから、土日は家族連れのお客さまが増えたとのこと。なるほど、かわいらしい上に守っていただけるとあれば、これはお子さまたちには大人気でしょうね。

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御身影ケースも各種取り揃えています

「せっかく綺麗なのに1年で捨てちゃもったいないわよね。」

「懐古堂」さんには、高岩寺さんの境内で販売されている、お地蔵さまの御尊像を入れる袋も取り扱っています。確かに、御守りって1年で新しいものに変えてしまうことが多いので、綺麗な袋ごとお焚き上げに出してしまうのは、なんとなくもったいない気がしますからね。普段からエコを心がけていれば、お地蔵さまもきっと喜んでくださいますよ。

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健康への願いが込められています

ご購入いただいた御守りには、一つ一つ願いを込めて、火打ち石と鉄の板で火花を散らす「切り火(キリビ)」というお清めをやってくれます。通常は3回なのですが、「もっとやってよ!」というお客さまのご要望にお答えして、2回サービスの計5回。なんでも、境内にある何軒かの御守り屋さんでも同じように切り火をやっているそうで、他のお店から「カチカチ」と聞こえてくると、「あっ、うちもがんばらなきゃ」って思うそうです。

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店舗データ

場所:高岩寺境内。縁日以外も雨の日を除いて出店。

原田の耳かき

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耳かき愛好家のみなさま、お待たせしました。「日本一高い耳かき」を自称する手作り耳かきのお店、「原田商店」のご紹介です。小さな幸せをお届けすること間違いなし!

あなたの耳に優しくフィットする手作りの耳かき

「耳を見せていただけますか?」

取材に行く前に、社内で「手作りの耳かき屋さんに行くんだよ」と言ったところ、 「1000円以内なら買ってきて!」という声を多数もらいました。意外と耳かきマニアの方って多いのですね。

さてさて、露店についてお話をお伺いしようとしたところ、早速お客さま。最もお安いものでも1000円近い耳かきに尻込みしている庶民の私をよそに、一番お高い2980円の商品を涼しい顔でご購入されていました。せっかくなので、作り方を拝見しました。びっくりしたのが、「耳を見せていただけますか?」という言葉。ということは、ひとりひとり微妙に掻き出し部分の大きさが違うということ。「手作り」ということをよくよく考えると当然なのですが、大量生産のご時勢にちょっと驚きです。

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職人の腕と、歳月が作り出す芸術品

「300年以上かかる場合もあります。まあ、100年以上って書いていただければ間違いありません。」

マニアの割にはあまり意識していなかったのですが、木の耳かきは通常竹で出来ています。露店に見本として置かれているのは2種類、「サラシ竹」と「スス竹」。その中でも、最適とされるのがスス竹だそうです。このスス竹は聞きなれない方も多いと思いますが、古民家のワラ葺き屋根などに使用された竹で、日常の囲炉裏の煙により茶色くなった竹で、適度な硬さと柔軟性を兼ね備えたまさに耳かきのための竹なのです。この状態になるのに少なくとも100年はかかるそうで、300年以上たったものもあるとか。手に入れるのにも至難の業ですよね。しかも、1日に20本程度しか出来ず、一度作れば50年以上はもつとのこと。だんだん約3000円の値段がお買い得に思えてきたのは僕だけでしょうか?

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痛くない、けどしっかり掻ける!

「赤ちゃんにもお使いいただいていますよ。」

話を伺っているうちに、仕事を忘れ購入しました。マイ耳かき。先ほどのお客さまと同じように、耳をみて、掻き具合の細かい要求を聞いていただき、いよいよヤスリがけとナイフで形を整える作業の開始。約10分後、赤ちゃんも痛がらないやさしい掻き具合の耳かきが出来上がりました。みなさまもお作りになってみては?

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商品データ

5寸 大人から子供までの標準型 サラシ竹:980円/スス竹:1550円
4寸 自分専用の耳かき サラシ竹:980円/スス竹:1550円
ひも付 携帯用耳かき サラシ竹:980円/スス竹:1550円
節付 竹の節を使ってしっかり出来てます サラシ竹:1550円/スス竹:1980円
親子・両頭 両サイドに掻きだし部分あり。耳かきの特別に好きな人の耳かき サラシ竹:1980円/スス竹:2980円
※値段は2007年6月現在のものです

店舗データ

昭和20年代から代が変わっても耳かき一筋。
高岩寺境内。縁日意外でも以下休日を除き営業しています。
営業時間:9時から17時ぐらいまで
休日:雨の日、縁日翌日、月曜日・金曜日はお休みの場合が多いそうです。

文と写真:
巣鴨歴一年半のフォトグラファー見習い 中後政則